2009年7月17日金曜日

驚きの発見

「ナザレの村里」(『讃美歌21』287)の曲、ST. PETERSBURGのボルトニアンスキー自身によるハーモニーを探していた。すると、次のような説明のページを見つけた。

http://www.kkovalev.ru/Bortniansky-eng.htm

正教の典礼のために書かれたのではなく、"Kol Slaven"という詩に付けられた曲らしい。
ドイツでは、テルシュティーゲンの詞、 "Ich bete an die Macht der Liebe"と組み合わされて歌われる。これは知っていたし、それを演奏したCDも持っている。

ところがそれだけではない。この曲は、ドイツ陸軍の"Großer Zapfenstreich"という儀式の最後に「祈り」と題されて演奏されるらしい。"Zapfenstreich"は「帰営ラッパ」という意味で、指揮官の退官の時などに行われるということだ。

YouTubeを探してみたら、その模様があった。

http://www.youtube.com/watch?v=CVZGHbctH34

この儀式については、『エロイカより愛を込めて』(青池保子)というマンガに描かれていて(34巻60ページ。ここでは、ドイツ連邦軍創立50周年記念式典として行われたものが取り上げられていた)、登場人物の一人がこの「祈り」に感激する場面があった(62ページ)。その中で、「曲目は『愛の力に祈る』」と、ドイツで歌われる詞もきちんと言われているのに、その「祈り」がST. PETERSBURGだということに気づかずにいた。

それにしても、このように神秘主義的な信仰の歌が、どのようにして、軍隊の儀式に取り込まれたのか。
ロシアの愛国的な歌が、どのようにして、ドイツでよく知られる歌になったのか。
そして、そのような歌が、どのようにして、英語圏で賛美歌となったのか。
発見の後には、新たな疑問が起きてくる。